人力検索のユーザー数の推移

 いつの頃からか末期的過疎化と言われるようになってしまった人力検索ですが、実際どうなのかというのはすごく興味のあることでした。そんなときはてなハイクid:Yoshiya さんの集計したグラフを拝見する機会があり、そのグラフが人力検索のシステムの変更や起こった出来事をとても敏感に反映したグラフであることに驚きました。

 
 それで勝手にもとのグラフの画像に人力検索に影響を与えたであろう出来事を書き加えてみました。出来事は人力検索のサービスの変更などは直接、質問数と回答数に影響を与えるとして、終了質問・有効回答数のグラフに、外的要因はユーザー数に影響を与えるとしてユニークユーザー数のグラフに書き込みました。


○終了質問・有効回答数


 まず、人力検索に深く影響を与えたであろう「他ユーザーの設定による回答拒否」機能(以下間接回答拒否)は、2005年9月に実装されますが2006年3月に停止した後、2007年3月に再開します。間接回答拒否は回答できない質問を増やし2007年12月までに回答数を半分に減らします。間接回答拒否は質問者を悪質回答者から守る目的で導入されたはずでしたが、結果的に回答数の減少が質問数を減らすという悪循環を引き起こします。2007年8月にはてなスターが実装され、9月には間接回答拒否の期間を1ヶ月と制限しますが、とき既に遅くこの時期古参ユーザーの多くは人力検索を離れユニークユーザー数は下降線となります。

 
 2008年7月に下降していた回答数は増加に転じますが、質問数とユニークユーザー数の減少は続きます。これは質問一つ当たりに付く回答数が増えているにも関わらず、質問者の満足が得られていないということです。つまりそれは悪質回答や無意味な回答の割合が増えたことを意味するのではないかと思われます。それははてな側もその時期悪質回答対策の変更を加えたり注意を呼びかけたりしていることでもわかると思います。そして回答数は減っていないにも関わらず回答者の数は減っているということは、回答する人の固定化を意味していて、広範囲の分野の質問に対して柔軟に対応することを不可能となっていきます。


○ユニークユーザー数

 
 2008年12月に発売されたニンテンドーDSiにはうごメモはてなというはてなと連動する機能がバンドルされていて、翌1月には10万投稿を達成するなど人気となります。その恩恵を受けたのか、一時的に2009年1月の回答者数は増加しますが、質問者数の増加はありません。これはもともと無料のうごメモから参入したユーザーがポイントを購入して質問することにはつながらなかった為だと思われます。ただはてな側も他サービスへの誘導を狙って人力検索に登録すればグリーンスターをプレゼントなどをしています。

 
 2009年8月には人力検索で最大の汚点となる事件が起きます。最優良回答者と思われていた人物が一夜にして最悪質回答者となった事件です。皮肉にもこの時期人力検索はそのことに関する質問が乱立し盛り上がりを見せます。今まで休眠していたユーザーも口を挟んだり、サブアカウントを使って発言するなどユニークユーザー数を増やすことにもなりました。こういう"荒れ"は一時的に外野の興味を引きますが、時期が過ぎるとその後の落ち込みを深刻にする要因となってしまいました。

 
 2010年1月頃からか年少者の無意味な回答が増え始めます。それはうごメモでポイントをただで稼ぐ方法として人力検索が紹介された為でした。それは2月にカラースター交換所が開設されることで回答者数が倍近くなるという異常事態となります。このときtwitterとの連動もスタートしていますが、どちらも質問数の増加にはつながらなかったようです。事態を重く見たはてな運営は「12歳以下の回答を受け付けないオプション」を実装して、年少者の回答を制限します。事態はすぐに収束しますが、同時に登録時に正しく年齢を登録していなかった年長ユーザーの回答の機会を奪い2010年5月には過去最低の回答数を記録して現在に至ります。


 2010年6月以降の予想ですが、たぶん6月7月は質問数はわずかに上がると思います。雑貨屋さんのおかげで。質問者と回答者の数の減少は止まらないでしょう。回答者間のいざこざが絶えませんから。主用なQAサービスの一つだと思っていた人力検索がいつのまにか小さなコミュニティになっていることを改めて実感しました。

 
 追記。今アナウンスのあったことですが、2010年8月31日ではてなポイント楽天ポイントへの交換を停止するそうです。Amazonギフト券への交換は引き続き行われますが、人力検索という回答してポイントが稼げるサイトという特異性を無くしていくのは間違いないです。そのまま終焉に向かって行くのか別の形で存続するのか。