さよならぼくたちのようちえん

なんか本放送のときに放送事故があって映像が差し替わったとかで、後で全編を再放送ということだったようです。それで昨日その再放送があり早速録画して見ました。
 
テレビドラマのmatherのスタッフということで目の肥えた視聴者を選ぶ伏線たっぷりの2時間ドラマになることは想像できましたが、想像は裏切らなかったように思います。
 
見た人はたいてい思ったと思うのですが、最後にヒロム君死ぬ病気じゃなかったのか。死なないんだったら会いに行く意味無かったんじゃないかって思ったと思います。
 
実はあの話は奇跡を書いてるんじゃないかって朝布団の中で考えてました。つまりヒロム君は死ぬはずだったけど死ななかった。バスの老婆はヒロム君の死を暗示していました。それでもある偶然、奇跡によって助かったんじゃないかと。
 
ヒロム君の死のイメージは黒い空で、冒頭で絵を書きますが青いクレヨンが無いので黒で塗りつぶそうとします。それでカンナは青いクレヨンを届けようとするのですが、結局クレヨンを届けることはできなかった。その代わりとなったのがキャンディーの青い包み紙です。
 
青いキャンディーがヒロム君に届くためにはたくさんの障害がありました。お金持ちの女の子が1万円を持っていたり、車掌に不審に思われたときにメガネの子が機転をきかせたり、鉄道好きの子が道順を知っていて最後囮になったりしました。
 
カンナが先生に見つかり、先生は友達の話と言いながら自分の話をしたのはすぐにわかったと思います。カンナは青いキャンディーを二つ差し出し、何の説明もなく次のシーンは病院です。これはカンナも先生が自分の話をしていることがわかっていて、慰める為にキャンディーを一つ渡したということで、その後先生は仲間となります。
 
このように青い包み紙は障害を乗り越えて子供たちと先生によってある意味必然的にヒロム君まで届きました。ところが一つ大きな偶然があるのです。途中カンナがみんなに差し出したキャンディーは人数分の色とりどりのキャンディーだったはずです。他の子供たちがキャンディーを取って、その中から青が残ったのはまったくの偶然なのです。それこそがスタッフがこっそり忍ばせた奇跡なんじゃないかと。
 
子供に長台詞を言わせてこんなにすごい子役だぞとか、執拗に子供目線でカメラを回してこんなに中腰で撮ったんだぞとかの作り手のアピールが鼻につくところはありますが、脚本は説明過剰じゃなく視聴者が推理できる内容で良かったと思います。基本的に子役があんまり好きじゃないのであまり見ないタイプのドラマですが、先生の病院のシーンは号泣させていただきました。